病院ガイド2009掲載
口の中の乾燥と味覚の異常について
口内の乾燥感には、実際に唾液(だえき)分泌の減少を伴うものと伴わない(口渇を含めた)ものがあります。
その原因としては、次のように区分されます。
①唾液腺自体の異常②薬剤性③全身疾患の続発症状④心因性⑤その他 です。
- 耳下腺や顎下腺などを含めた大小唾液腺の分泌機能の低下がおきている場合です。
口内乾燥症の原因の多くはこの唾液腺自体の異常によるもので、もともと分泌がわるいかたもいらっしゃいますが、 加齢による退行変性(女性は閉経後とくに低下しやすいと言われています)、シェーグレン症候群、放射線照射後の唾液 腺変性などがあります。 - 薬剤性の主な原因薬剤としては、催眠鎮静薬、降圧薬、抗ヒスタミン剤、抗うつ薬、抗不整脈薬、などがあります。
もし、常用している薬がある場合には、その薬の副作用項目を一度チェックするためにかかりつけ医に相談したほうが
よいかもしれません。
必要があって飲んでいるお薬なので、勝手に薬はやめないようにしてください。 - 全身疾患の続発症状としては、脱水、発熱、出血、貧血、糖尿病、更年期障害、甲状腺機能亢進症、腎機能障害などが 原因として考えられます。
- 心因性としては神経症、情緒不安定、緊張や抑うつ状態が関係します。 まずは耳鼻咽喉科で診察し、唾液腺自体の異常がないかどうかみていただくのがよいと思われます。
また口内の乾燥はしばしば、口内の異常感や、舌痛、味覚異常なども伴う場合もあります。 一般に味覚は、酸味、塩味、苦味、甘味、旨みの5つに分けられます。加齢により甘味の感度はあまり変化しませんが、 酸味、塩味、苦味の感度はやや鈍くなるといわれています。
一般的な味覚障害の原因としては、薬剤によるもの、亜鉛の欠乏によるもの、心因性、特発性、口腔疾患などとされて
います。
とくに亜鉛の欠乏に関しては、食事性によるものや薬剤が亜鉛をとりこみづらくしてしまったりするものもあります。
亜鉛の欠乏による味覚障害は5つの味すべての味覚が減退すると言われています。
また、食物の味が本来の味と異なる場合には異味症または味覚錯覚、また常時口の中で苦味がする場合には自発的異常味覚と呼ばれ、原因として心因性がもっとも多いとされています。
この場合見た目には炎症所見などの異常を認めないにもかかわらず、しばしば口内乾燥感、異常感、舌痛などを伴います。
口の中のことでお悩みのかたは、一度耳鼻咽喉科にも相談に訪れてはいかがでしょうか。